本の中の世界〈小説〉
ある時、
ここが本の中の世界だと気付いた。
そして、私が主人公なことにも気が付いた。
理由は特にない。
でも、本に書けるような人生だし、小説家になろうと思ったらことごとく急に何かの力が発生して、書けなくなったから。
ふと私の脳裏に、ある疑問がよぎった。
「もし、もし小説なら何をやっても大丈夫なのでは?」
と。
試しに色々駄目なことをやってみた。(勿論、犯罪ではない)
アイスを絶対に太るぐらいに食べて全然運動しなかったり、徹夜を毎日してみたり。
それでも、体には何も変化がなかった。
「本当にこれは、本の中の世界なのでは?」
それだったら、
「現実でできないこともできるのでは?」
例えば、某漫画みたいに空を飛んだり過去や未来へいったり。
よし、やってみよう。
数時間後
う~ん。全然できない。
もしかして、本だから筆者が書かないとできないのかな?
じゃあ、今まで試行錯誤してどうにか空を飛ぼうとしていたことも、短い文章で済まされたりしてるのかもなあ。
でも、きっと本の中だから何かしら出来る気がするんだよなあ。
これ、多分頑張ってやれば見つかるパターンだから、やってみよう。
数日後
どうやら私は、
「どこにでも住める能力」
があるらしかった。
「どこにでも行ける」のではなく、「どこにでも住める」。
例えば、ハワイに住みたいと願ったら、辺りがビーチになってた。
宇宙に住みたいと願ったら、本当に宇宙に行けた(周りの物は浮いているけど)。
そして、私は考えてみた。
私は、どこに住みたいのだろう。
私は、どこで住むべきなのだろう。
長く考え、そして思い立ったのが
「ここ」だった。
雪猫