友達の名
「吾輩は猫である」
「……えっ!?」
急に話しかけられて僕はびっくりした。僕は友達もほとんどいない人見知りなのに。なんで話しかけてきたんだ?というか人間なのに猫って……。
「吾輩はついさっき人間になったばかりなんだ」
僕がいろんな疑問を浮かべる中、その子は構わず話を続ける。聞いてみるといつもどおりボンネットで昼寝をしていたとき、やけに視線を感じるなと思って顔をあげたら辺りにたくさんの人がいたらしい。
「いやぁ、猫がボンネットに寝ていただけであんなに人が集まること中々ないからさ。そんなに珍しいことかなと思って手を見たら……まあこうなってたってわけよ」
「へぇ……」
にわかには信じ難い話だが、僕は何故か疑いはしなかった。
「そんなことより!やってみたいことがあったんだ!」
「何?」
「人間のお友達をつくること!」
まぁいいとは思うが。
もしや…………。
「これで感づいているかもしれないが君とは吾輩のお友達第一号になりたい。なので、どうかお友達になって下さい」
何故、僕にしたのかは分からないが……
「いいよ。だけど、自己紹介ぐらいはしないと。僕は健斗。君は?」
「吾輩の名前はまだない!」
ペンネーム:雪猫